個人的な見解を述べさせてもらうと、CDNと携帯電話の料金プランは非常に似ていると思います。
というのも、CDNも携帯電話もデータ転送量を基準とした従量制の料金プランと定額制の料金プランが存在しているからです。
その携帯電話は、いまや従量制ではなく定額制の料金プランが当たり前。
なのに、CDNのサービスは今も従量制課金の料金プランのほうが幅をきかせているのはどうしてなのか。
弊社は、「CDNサービスの従量制課金の壁をぶち壊したい!」と“ほぼ定額”の料金プランのCDNサービスの提供を決定しました。
その理由を、今回はお話させてください。
目次
どうしてCDNサービスは従量制課金を採用しているのか?
CDNサービスが従量制を行う理由のひとつは、「安定したサービスの提供」をしつつ、「きちんと利益を出す」ためです。
以前、完全定額制のCDNサービスを展開した「SiteLock CDN」は、1年も経たずにサービスを終了してしまいました。
定額制のCDN業者が利益を上げるためには、利用者の転送量が業者の想定していた転送量を下回らなければなりません。
逆に想定した転送量を超えてしまうと、それは業者側の赤字になるということ…。
まさに「SiteLock CDN」が終了した理由は、「5,000円という格安の価格設定で定額制にしたものの転送量が予想より大幅に超過した」ことだと思います。
CDNのユーザーは定額制と従量制、どっちを選ぶべき?
CDN業者としては、従量制のほうがリスクは少ないですよね?
では、CDNを使う側(ユーザー)としては、定額制のほうがお得なのでしょうか?
定額制のメリットとデメリット
・メリットは、アクセス数やダウンロード数を気にせずサイトを運営することができる。
・デメリットは、アクセス数に波がある場合は、コスト高になることがある。
従量制のメリットとデメリット
・メリットは、“使った分だけ”なので、不要なコストを抑えることができる。
・デメリットは、アクセス数やダウンロード数が予想を超えた場合、請求額が高額になる。
正直なところ、「絶対にこっちがよい!」と言い切ることができず、自サイトのアクセス数、ダウンロード数を考慮して決定するべきだと思います。
契約期間に縛りがなければ、運営状況を見て切り替えるのが賢い運営方法かもしれません。
定額制CDNサービス一覧
CDNサービスの定額プランを提示している業者は少ないですが、ゼロというわけではありません。
ここでは「定額」を提示しているCDN業者を紹介します。
CDNサービス業者 | 月コスト | |
liteCDN | 7,500円 | ・50TBを超えた場合、5 円(GB)の従量課金 |
REDBOX | 65,800円 | ・httpsに対応している「エッジM」プラン ・オプションによりコスト増加の可能性がある |
i2ts(イーツ) | 390,000円 | ・2TBを超えた場合、130円(GB)の従量課金 ・従量課金の上限は780,000円 |
NTT Com Cloudn CDN | 1,500円 | ・200GBを超えた場合、12円(GB)の従量従量課金 |
cloud flare | $200+$5 | ・小規模事業者向けの「Business」プラン ・上記にCDN利用料として$5プラスされる ・$1=110円の場合、22,550円 |
各社定額制となっていますが、完全定額制というわけでなく、定額従量制、段階変動従量制、二段階定額という形になっていますね。
支払額(コスト)のみを考慮して、定額制を展開するCDN業者にランクをつけてみました。
CDNサービス業者 | ~700GB | ~53TB | ~61.7TB |
liteCDN | 2 | 1 | 3 |
REDBOX | 4 | 3 | 2 |
i2ts(イーツ) | 5 | 5 | 5 |
NTT Com Cloudn CDN | 1 | 4 | 4 |
cloud flare | 3 | 2 | 1 |
※ Cloudflareは$1=110円で算出
REDBOXとcloud flareは、初期の料金設定が高めですが従量課金はありません。
なので、動画・音楽・漫画の配信サイトであればREDBOXとcloud flareを、それ以外のニュースサイトやゲームアプリなどのそれほど多くの転送量でない場合は段階変動従量制のliteCDNとcloud flareを選ぶとコストを抑えることができるかもしれません。
とはいえ、これは「オプションはなし」、「コスト重視にしたら」を前提にしたお話です。
CDNサービスは安さだけで決めていいの?
CDN業者の選定で、コスト(価格)を考慮するのは当然のことです。
ただ、コストだけを優先してもよいのでしょうか?
優先順位は異なると思いますが、CDN業者の選定基準のポイントを挙げると以下のようになります。
・料金設定
・HTTP/2やHTTP/3に対応しているか
・中間キャッシュサーバーが採用されているか
・クラウドストレージに対応しているか
・キャッシュサーバーの位置(国内/グローバル)
・キャッシュサーバーへ転送される時間/クリア時間
・保持帯域はどれぐらいか
・コントロールパネルの使いやすさ
・APIでの操作有無
・セキュリティ対策
また、なかには、一部の機能はオプション料金となることがあるので、料金設定と兼ね合わせて情報収集したほうがよいでしょう。
また弊社がおすすめするCDN業者の選定ポイントは以下の3点。
・「HTTP/2」に対応している
今後、SSL化しているサイトが“当たり前”になってくることが予想されるので、「HTTP/2」に対応していることは必須だと考えています。
・国内にキャッシュサーバーが設置されている
ユーザーからキャッシュサーバーの距離が短いほどサイト表示が早くなるので、国内にキャッシュサーバーがあることは重要ポイントだと言えるでしょう。
・安定したサイト表示ができる
いちばん重要なのは、やはり安定したサイト表示ができることです。
経路の確保はもちろんのこと、DDoS攻撃などの悪意のある攻撃者にもしっかり対応し、安定したサービスを提供していることもチェックしておきたいですね。
気になるCDN業者が見つかったら、ぜひ「CDN業者 + 障害情報」で検索してみましょう。
過去にどのような障害が起こり、どのように対応されているか紹介されているはずです。
「ほぼ定額」?!liteCDNの料金体系
liteCDNの「ほぼ定額」とはどういうことなのでしょうか?
liteCDNは「段階変動従量制」を採用しており、同じ料金体系の業者に比べて従量課金開始が「50TB」という、かなりの転送量を低価格で利用できるのが特徴です。
50TBの配信で月額 7,500 円
50TB以上の配信で1GBごとに 5 円の従量課金
しかし、「50TBのデータ転送量がどれぐらいかわからない…」という方もいるかもしれません。
サイト1ページの目安は「1MB~3MB」だと言われています。
1カ月(30日)で50TBなので、1日だと約1.6TBの転送量まで無料。
1ページ3MBと想定した場合、1日に約53万PVのアクセス流入があっても、CDNサービスの使用料金はたったの7,500円なのです!
ウェブサイト以外の利用用途ではどうなの?
ウェブサイトでのデータ転送量の目安はお伝えしましたが、ゲームアプリなどの場合、データの転送量はどうなるのでしょうか?
弊社の実例を一部ご紹介します。
ゲームアプリ
ゲームアプリは最初にアプリをダウンロードすれば、その後はアップデート(プログラムの差分)やゲームデータのみをデータとして転送する形です。
利用者増加となった月でも40TBほどのデータ転送量でした。
LINE広告
月間8,400万人のユーザーへ配信されるLINE広告ですが、1回の配信でのデータ転送量は1TBでした。
毎日出稿しても50TBを超える心配はありません。
漫画アプリ
出典:
若年層でスマートフォンからマンガを読む習慣が定着
2017年3月に「ニールセン デジタル株式会社」が発表した後も、漫画アプリの利用者は年々増加しています。
そんな漫画アプリのデータ転送量は、ひと月50~100TBでした。
無料キャンペーンや人気マンガの配信スタートなどによりデータ転送量は大きく変わるため、自分の運営サイト(アプリ)のデータ転送量の目安を知りたいという場合は弊社にご相談ください!
また「CDNをまずは試したい」ということであれば、30日間の無料トライアルができる「liteCDN」をぜひご利用ください。
「ストリーミング配信するなら完全定額制のほうがお得じゃないか?」と思われるかもしれませんが、ストリーミング配信はオプションとなっており、その料金も不明瞭としているCDN業者が多いです。
CDNサービスの契約後に「ストリーミング配信は有料だった!」とならないよう、契約前にきちんと確認しましょう。
まとめ
弊社は、「サイトを安定して運用できる環境を低価格で」提供できるよう、liteCDNサービスを開始しました。
またエンドユーザーには、高速表示することでサイト(動画)閲覧によるストレスを軽減してもらいたいと考えています。
「Akamai」や「CloudFront CDN」のような大手CDN業者にはない、“かゆいところに手が届く”サービスを提供したい!
そう考え、今もサービスをご利用いただいている皆様からのご意見に沿えるよう、日々精進しています!